経団連「グローバルJAPAN~2050年 シミュレーションと総合戦略」 その2

前回に引き続き、経団連より先月(2012年4月16日)発表された
「グローバルJAPAN~2050年 シミュレーションと総合戦略」
についてコメントさせて頂きます。

2050年というと、遠い未来の話のように聞こえますが、
その姿に向け、経済・社会は今も絶え間なく変化しており、
遠い先の話だから私たちには関係ない、などと言っている場合ではないのです。

こうした予測には、人口減少のように確度の高いこと、
経済成長のシナリオなどの不確性の高いものがあります。

したがって、言うまでもありませんが、私たちはそれらの特性を踏まえ、
自分たちなりの視点を持ってこれらの情報を活用しなければなりません。

さて、同報告書では日本経済の将来予測について、
生産性上昇率や労働力率の変化についての仮定を設け、
GDP成長率を試算しています。

仮定は以下の4通りです。

①生産性が先進国の平均並みとなった場合、
②失なわれた20年が継続した場合、
③財政悪化による成長率下振れの場合、
④(女性の就労率向上等による)労働力率の改善の場合、

以下にそのグラフを抜粋させていただきました。

GDP成長率.JPGのサムネイル画像

(出典:経団連,「グローバルJAPAN~2050年 シミュレーションと総合戦略」,PP.11,2012年4月)

その結果、GDP成長率は、「③財政悪化による成長率下振れの場合」は
即座にマイナス成長。
「④労働力率を改善した場合」、楽観的シナリオである
「①先進国並みの生産性を確保した場合」は、
現在から2030年まではゼロ成長ながら、わずかにプラス成長を確保。

ただし、2030年以降は恒常的なマイナス成長。
また、現状維持のシナリオである「②失われた20年なみの生産性を維持した場合」については、
2030年までは、かろうじてプラス成長領域にあるものの、
2030年以降は継続的なマイナス成長に陥ると予測されています。

いずれのシミュレーションにしても、日本経済は早晩(2030年以降)
恒常的なマイナス成長に陥る可能性が高いことが指摘されています。

GDP.JPG

(出典:経団連,「グローバルJAPAN~2050年 シミュレーションと総合戦略」,PP.11,2012年4月)

合わせて同報告書においては、2050年のGDPの世界の中での順位を
シナリオ別にシミュレーションしています。(上記表参照)

同報告書によると、日本のGDPの順位は、現在3位にある経済規模が、
4つのシナリオ全てで大幅に下降していることを予測しています。

順位の下降は結果でしかありませんが、
注目すべきは2050年には日本のGDPが中国、米国、インドの半分以下となってしまう
ということではないでしょうか。

"BRIC's"や"NEXT11"等新興国の台頭は、すでに衆知のことではございますが、
あらためてこれらの数字を見ると、影響の大きさを感じざるを得ません。

それでは、このような長期予測を前に、我々はどのように企業戦略の舵をきるべきなのでしょうか?

最近では、連日のようにアジアの各地域への日本の企業の進出のニュースが報道されています。
今までは関係ないと考えられてきた業種や企業、
そして中小企業にもアジア進出の戦略的意思決定が迫られています。

私自身、3月にカンボジアへ視察に行き、
メコン経済圏の可能性を肌で感じてきたところです。

報告書においても、これらの状況に鑑み、
取るべき日本の方向性が示唆されています。

それらについては、また次回、触れたいと思います。

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